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プロジェクトX 農業機械の開発にかける男たち
サトウキビの未利用資源を再活用せよ3
サトウキビの葉を回収利用せよ
戦いの終わり編 平成15年度最終年度


■開発された機械
梢頭部回収機 サトウキビハーベスタ

 

 
■梢頭部の利用方法の問題
 梢頭部回収機は,完成に近かった。しかし,回収したサトウキビの葉はそのままではすぐに腐ってしまう。
どうすればいいのか,みんなわからなかった。サイレージで発酵するには新たな施設を作る必要があった。
ある日,牛用の飼料を畑でラップサイレージにしているのを溜池は見た。草を巻くには,長くないといけない。
しかし梢頭部回収機で回収した葉の長さは3cm。とても巻けない。あきらめかけていたそのとき,新聞の
記事が目にとまった。裁断型ロールベール完成間近。これだと思った。
しかし問題は,予算だった。室長の神門はいった。とにかくやってみなさい。やる前から諦めるやつは,
一番つまらない人間だ,予算は俺が何とかする。その日の内に交渉して予算を付けた。
サトウキビ タカキタ製裁断型ロールベーラ ラップマシン




■ラップサイレージ
 制作メーカであるタカキタに電話した。やって見ましようとの心強い回答だった。早速,予算をもらい2台の機械を
徳之島に送ってもらった。梢頭部回収機で回収したサトウキビの葉が,裁断型ロールベーラーの中に入れられた。
1ロール作るのに2分。とてつもなく長い時間に思えた。裁断型ロールベーラーの排出口が開き,丸くなった
梢頭部が出てきた。歓声が上がった。


 1個のロールの重さは,230kgであった。ラップをする機械で拾い上げても壊れることは無かった。
12個のラップサイレージができた。裁断された葉をそのまま売るよりも,保存はでき,商品価値が倍増した。
しかし,両方の機械で500万円程度になる。
 機械を買うことができない場合の対処法も溜池は考えた。簡易なバックにそのまま投入し,空気を吸引した後に
縛る方法だった。バックは3つできた。バックに入れるときに,葉を大量にかぶりかゆかった。

■検討会
検討会には、サトウキビ関係者と、畜産関係者が集まった。この機械をサトウキビ生産者が導入するのか、
畜産生産者が導入するのかが争点となった。しかし、結論は出なかった。


■種子島での試験
 種子島では,梢頭部はサトウキビハーベスタが入る前に人を頼み鎌で取っている。しかし,高齢化の波が押し寄
せていた。梢頭部回収機を使いたいとの電話があった。機械を種子島まで送り,試験をすることになった。
種子島のサトウキビは,寒いために,葉が少なかった。ポロポロと落ちるサトウキビの葉が多かった。
種子島用に葉を改良し,回転速度の調整を行った。


 試験は3日間行われた。溜池の試験結果,この機械は,種子島でも使えることがわかった。
魚谷鉄工の緑の機械が種子島の夕日で光った。梢頭部回収機は完成した。
この研究も今年で終わりだった。種子島から徳之島に帰る
飛行機の中で今までのことがそれぞれの頭の中に思い出された。サトウキビの機械化に終わりは無い。
三浦部長 梢頭部回収機

 

春3月になり溜池は徳之島支場を去った。県立農業大学の助教授となった。
黒木は一人残された。その後の検討会で、機械のメーカ価格が1280万円となった。
目標価格は800万円であったが、この機械は、800万円では作成は無理であろう。
この機械が、現場で活躍す日がいつくるのか、楽しみである。

終わり



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