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プロジェクトX 農業機械の開発にかける男たち サトウキビの未利用資源を再活用せよ サトウキビの葉を回収利用せよ 開始編 平成13年度 |
サトウキビ手刈りの頃 サトウキビの頭の部分の葉(梢頭部,しょうとうぶ)は牛のエサだった
手刈りの減少に伴い梢頭部は利用されなくなってきたハーベスタの普及 しかし,ハーベスタの普及により梢頭部は取られなくなった。
梢頭部は原料とともに製糖工場に持ち込まれた。
製糖工場でも梢頭部はゴミになり問題だった。畜産のエサ エサの草を生産するために,サトウキビ畑を飼料生産畑に変える。
サトウキビの栽培面積も減る主な登場人物 徳之島支場 作物研究室室長神門
大村主任研究員
溜池主任研究員
喜研究補佐員
黒木研究員
かつて,サトウキビの葉の部分(梢頭部,しょうとうぶ)は,牛の飼料として利用されてきた。
梢頭部はサトウキビの葉の部分 牛のいいエサになっていました
しかしサトウキビのハーベスタの普及によりサトウキビの葉はゴミとして畑にぶちまけられることになった。
畜産農家は牛のエサであったサトウキビの葉が手に入らなくなったため,サトウキビの畑を牛のエサの飼料畑に変えた。しかし冬の期間は,飼料の収量はあがらなかった。
このことによりサトウキビの栽培面積も減少した。サトウキビの頭の葉の部分には,糖があまり含まれていないことと,牛のえさに適していることなどからその部分だけ個別に取り除く機械の開発が求められていた。
大村,溜池により梢頭部回収機の開発が行われていた。梢頭部回収機はサトウキビをまたいで入る構造にするために,門型の構造になっていた。機械はケーンハーベスタの試作機を改造したものだった。 大村,溜池は実演会では足回りだけを見せるつもりだった。しかし神門は言った。 「せっかくみんなが集まるんだから葉を刈り取れるようにしろ」。大村,溜池は困った。時間がなかった。急遽,バリカン刃を付けた。 実演会の日,バリカン刃は梢頭部をうまく刈り取ることが出来なかった。集まった畜産農家は機械を見て笑った。 開発は始まったばかりだった。これからが戦いの始まりだった。しかし,大村は県庁に転勤だった。大村のかわりに来たのは,黒木だった。平成13年4月,大村の後任で赴任してきた黒木は,機械のことを知らなかった。しかし本人の希望で,徳之島支場に来た。残された溜池は機械の使い方から,溶接の仕方まで黒木に手取り足取り教えた。戦力不足になった。溜池は悩んだ。しかしこの機械開発のチーフになった溜池には悩んでいる時間は無かった。 |
■切断フレーム1号機 | ||||
構想は,溜池が考え黒木,喜が作った。喜は農業機械の研究補佐員であり鉄の施工は右に出るものはいなかった。黒木は喜の技術を学びながら少しずつ鉄の施工が出来るようになっていった。3人で1ヶ月かけて完成させた1号機を畑をもって行って試験に望んだ。 梢頭部を切ることが出来ず5分で試験中止になった。黒木はがっかりした。1ヶ月もかけて作った機械がすぐにだめだった。「黒木君,農業の機械開発では良くあることだよ。相手が一定のものでもないし,予測不可能なことが起こるからね」。溜池はあっさりと言った。 しかし,溜池,喜はどこが悪かったのか原因を見て次の機械の構想を考えていた。後のかき出す部分に,サトウキビの葉がまきついて,失敗したのだった。 |
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■フレーム2号機 | ||||||
巻付はある程度解消されていた。みんながうまくいったと思ったそのとき,信じられないことが起こった。大きな音とともに,キビの葉を切る刃が砕けた。角度を変えるとき,キビに押されて耐えきれなくなったのだ。 これ以上の素材は,試験場には無かった。みんなは絶望的な気分になった。 しかし,溜池は,フレーム2号を機体から下ろすと,鉄くずの山の中に入れた。フレーム3号を作るぞ。その溜池の言葉で黒木と喜は再び動き出した。刃の角度を変えられるようにする必要があった。
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■フレーム3号機 | ||||||
フレーム3号機は,全ての装備を備えたものだった。黒木は,初めからフル装備で作ればいいと思ったが,溜池には考えがあった。少ない装備で試作してうまくいけば,それでOKだった。その方が製品になった時のコストを抑えることが出来るからだった。 3号は,かき込む部分,刃の角度が変えられる刈り取り刃部分,はさんで後ろに送る部分からなっていた。ここまで来るのに3ヶ月の時間を要した。 |
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■畑での試験 | ||||
牧草を四角く固める梱包機を購入した。溜池は牧草用の梱包機を試作した機体の上に乗せることにした。その前に,梢頭部を梱包出来るか畑で単独試験を行った。3人は畑から梢頭部を鎌で刈り取った。大量の梢頭部が必要となった。 機械を動かし梢頭部を投入口から入れた。ものすごい音と,振動を立てながら機械は動いた。しかし,梢頭部は四角くならなかった。青草のため水分が高すぎるのだ。設定を変えながら何度も機械に梢頭部を入れたが,ついに四角くなることは無かった。 「この方式では駄目だ」溜池はつぶやいた。どうすればいいのか,方向性を見失ってしまった。機械自体の振動も大きいためうまく梱包できたとしても,機体の上に乗せることは危険だった。改良を繰り返し実験を繰り返したがいい結果は来る日も来る日も出なかった。時間ばかりが過ぎ3月になった。 |
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