さとうきびの収穫に使う機械
ケーンハーベスタ
    
収穫に使う機械ケーンハーベスタ(サトウキビ収穫機)を紹介します
海外製の大型ケーンハーベスタ 日本製の小型ハーベスタ
 ケーンハーベスターは,海外の大規模なサトウキビ栽培では利用されていました。
 しかし日本の小さい畑には,海外製の大きなハーベスタは,適応しませんでした。そこで小さな機械から始まり,改良を加えることで日本製のケーンハーベスタが出来上がりました。





ベビー脱葉機 ドラム脱葉機
ベビー脱葉機は,耕うん機などから動力を取り,サトウキビの葉を硬いブラシでむしる機械です
ドラム脱葉機は,投入口から人力で入れられたサトウキビを20cm程度にカッターで切り,
円状に並んだ鉄で葉をむしる機械です。


刈倒し機
刈って倒すだけの機械


■ケーンハーベスタ
現在日本のサトウキビ収穫機(ケーンハーベスタ)の生産メーカーは,鹿児島の松元機工,文明農機,奈良県の魚谷鉄工の3社です。価格は1,500万円から2,300万円程度までです。現在多く導入されているものは,70馬力程度のものです。
 赤いトラクターのヤンマーのように会社のイメージカラーが決まっていて,現在は松元機工は赤,文明農機は青,魚谷鉄工は緑がそれぞれのカラーになっています。
MCH-15 UT-100 HC-50


赤い松元,緑の魚谷,青の文明

■ケーンハーベスタの構造
機体前方から ベースカッタ部分 作業風景
 ケーンハーベスタの構造は,機体前方にクロップデバイダと呼ばれるらせん状の円筒があります。これで倒れているサトウキビや絡まっているサトウキビを起こし,切りやすくするとともに,踏まないようにします。
 ベースカッタと呼ばれる内側に回転する刃で,サトウキビの根元を切り,機械の中にサトウキビを噛み込んでいきます。噛み込まれたサトウキビは,20cm程度に切られ機体後方から落下するときに風の力によりゴミとサトウキビ製糖原料に分けられ,袋の中に入ります。ゴミ(サトウキビの葉や枯葉)は畑に落とされます。
袋に入った製糖原料のサトウキビ 風で飛ばされるゴミ


袋が一杯になるとこのようにして袋を下ろします


魚谷鉄工のケーンハーベスタ 
 魚谷鉄工は,奈良県の林業機械メーカーです。沖縄県を中心にサトウキビの収穫機を販売してきました。今までは中型ハーベスタ中心でしたが,近年小型化の機械も販売し,鹿児島県でも販売台数をのばしています。
他の2社がベースカッタ部分のみを上下させサトウキビを刈り取るのに対し,機体ごと足の部分から上下させる方式を採用しています。機体をひねって上下させることが可能なため傾斜地でも安定した走行と作業が出来ます。
機体ごと上下



運転席,キャビンタイプ






■文明農機のケーンハーベスタ
 文明農機は鹿児島県の農機メーカーです。古くは足踏み脱穀機などに文明式と書いてある古い機械が博物館などにあります。タバコの機械等も作っています。低価格モデルのHC-30(850万円)を売り出しています。
HC-30




キャビンタイプ

松元機工のケーンハーベスタ
 松元機工は,鹿児島県の農業機械メーカーです。お茶の機械で有名です。お茶の機械も同じ色なのでお茶産地ではよく見かける色です。






 さとうきび収穫作業の機械化により,減少傾向であった,さとうきびの栽培面積が増えています。平成16年度の製糖期でハーベスタによる収穫が50%を越えました。サトウキビ産業にとってケーンハーベスタは無くてはならない機械となりました。機械化により後継者も島に帰ってきています。しかし,手刈りでは持ち込まれない葉や枯葉,土,ゴミ等が工場に持ち込まれ製糖歩留まり(砂糖が採れる割合)が下がって問題となっています。
機械収穫により,砕けたサトウキビや機械の中に入らなかったサトウキビがロスとなります。ハーベスタの袋1つが800kg程度はサトウキビが入りますがそのとき10%のサトウキビ80kgは畑にぶちまけられています。10aの収量8tとして800kgが無駄になっている計算です。
 機械化されて平成16年度で10年目ぐらいです。機械化はこれからも進むことと思います。そのため機械の改良もまだまだ進めて行かなくてはなりません。