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鹿児島と東京のそば文化の違い(おのぼりさん的感想になっています。)

東京のそば屋の感想
私が見た東京の有名そば屋は,少ない量のそばをつまみに日本酒なんかとおしゃれに食べるものでした。そばは,刺身の代わりのような存在に映りました。食べている人も生活に余裕がある老紳士や会社役員。女将らしき人が,レジの所で店内を見渡し客の動きを瞬時に把握し高級な空間を演出する。まさに,田舎者と子どもには似合わない世界。コンパクトカメラをカバンから出して,そばの写真を撮るのも非常に勇気の必要な空間でした。
そばは,硬く腰があり噛んでも噛みきれない。噛んでは粋では無いといわれていることを納得しました。
恐ろしく高級なイメージの東京そば文化です。



東京のそば屋

日本橋室町砂場
 ざるそば650円そんなに高くないが量はものすごく少ない。他のどの店よりも高級感があり,独自の空間がそこにはある。女将が店内を見渡していたのもこの店。そばは腰があり噛み切れない。江戸っ子のように,粋にすすってみました。これが初めて食べた東京のそば,感激。

神田やぶそば
 古い感じのいかにも老舗の店構え。注文を店員さんが語尾を延ばして板場に伝える。店員が並んで客を待っているが,店内に並んでいるためになんだか変な感じ。
高級感は店員のせいで無い。
そばも量は少ないし,柔らかかった。ちょっとがっくり。

神田まつや
 混んでいて鹿児島では考えられない合い席。前の2店とは客層も異なり家族や会社帰りのサラリーマンや若いカップル等で,店は庶民的で活気があって良かった。
量は少し多くこしもあった。手でちぎったような海苔がちょっと邪魔かな。
店外にも待つ人がいるくらい混んでいた。

松翁
 店の場所がわからなくて苦労した。店内の雰囲気は,そばにかけるこだわりが厨房から漏れてきて,硬く張り詰めているような気がした。
そばは,美味しかったが,雰囲気は味わえなかった。

九段一茶庵
 ここの店もわかりにくい所にあった。しかし店の中は,しっとりとして落ち着ける雰囲気で,隣に座った老紳士は日本酒の冷酒を飲みそばを食べていた。
背筋をピンと伸ばし日本酒を味わう姿を見ながら,東京のそばは,粋で無くては味わえない気がしました。
一茶庵は,そば,店の雰囲気,店員の対応,客層が最高で東京のそば文化の花が咲いたような所であった。

かやば町長寿庵
 夕方の開店と同時に行ったせいもあるが,主人らしき人が不機嫌そうな顔で着替えをしていた。そんな主人のせいなのか,店員もなんだかいやそうな感じで対応している。2日で回った最後がここだったのでがっかりした。





鹿児島のそばを考える

鹿児島のそばの立場 
 鹿児島のそばは,あくまでもご飯の代わりであり,腹いっぱいにならないと落ち着かない。ざるよりも圧倒的に,かけが好きな人が多いのではないか。ざるでは飯は食えないが,かけの場合天ぷらやさつま揚げ等の具で飯を食べることが出来る。かけそば定食で,ご飯が出てきた時は,何で白飯を食べるのか迷った。

つなぎ
 山芋,自然薯をつなぎとして使う。他の地域では十割そばは,そば粉と水だけであるが,鹿児島の場合,山芋をつなぎとして使っても十割そばである。鹿児島のそばは,そば粉+水+山芋である。

そば切り
 昔,おばあさんが作って食べさせてくれていた頃のそばは,短く切れていた。そのため,本物のそばは5cm以上にならないと思っている鹿児島県人は多い。私も昔は本物は短いと信じていた。短いためにかけそばでしか食べられない。鹿児島のそばは,家庭で家族そろって年越しの時に食べるものであり,短くても太く切ってあってもOKなおばあちゃんの味でした。

かけそばのだし
 県内でも地域によって,いろんなだしを使います。地鶏のトリガラスープで毎年食べていましたが,みその中に入れられた時はびっくりしました。狭い県内でも地域によって色々です。指宿地域ではサバだしの味噌味で食べます。これが慣れてくると美味しい。

奄美地域
 奄美地域にはそばを食べる習慣が無い。暑い気候にそばが合わないのではないだろうか。





そばのフアミリーレストラン,吹上庵について考える
徹底したイメージ作戦 
 鹿児島のそばのチエーン店吹上庵。いい所は,メニューが豊富。注文してからの出来あがりが早い。店が古い民家のような作りで落ち着ける。店外に水車を作り,石臼を店内に飾り,昔の民芸品をレジの脇で売る等の徹底したイメージ作戦を行っている。工場で作ったそば,うどんを各店舗に配送しているが,その店で手打ちで作っているかのような錯覚を与える。


価格と満足度
 価格が安くて,腹もいっぱいになる。そば屋の域を越えた外食産業です。そばを食べに行く感覚よりも吹上庵に食べに行くと言った感覚。ファミリーレストランと一緒です。そばは,うどんの変わりなので,つなぎをふんだんに使っていますがいくら使っていているかは不明。いつもお客さんでいっぱいで,高齢化の進んでいる鹿児島県にマッチした商品構成。うどんのフアミリーレストランうちだ屋よりも高級感があるのもまた良し。



鹿児島に本物のそば屋が少ないのは,どうしてか?
 管理のいいそば粉で,ちょっとしたポイントを押さえながら打てば長いそばが打てるのに,短いそばが本物だと思っている鹿児島県人は多い。本物の長いそばを出しても小麦粉(つなぎ)入りと思われる。
鹿児島県は,本物のそばで商売していくにはやりにくい地域です。
しかし,そば好きの人が採算を求めずそば屋を開店しているのも事実です。
本当のそばを大量に打つのは体力的に難しい。でも東京の3〜4倍は盛らないといけない。
そんな矛盾があります。本当のそば屋さん,ファミレスに負けないようにがんばってください。

まとめ
 東京みたいにおしゃれなのはいいが,鹿児島県人は,腹いっぱいにならない店には行きたくない。800円払って腹いっぱいにならなかったら,とんこつラーメン食べる人がほとんででしょう。
鹿児島はラーメンが美味しいもんね。
ラーメンに乗っている焼き豚で,ご飯食べれば腹いっぱいでしあわせ。そばにこだわりが無い人ならなおさらです。
鹿児島のそば屋は,ラーメンとの激しい価格・量競争にさらされています。
鹿児島では東京のそば屋は,繁盛しません。
鹿児島はそば(植物)の生産量は多いが,家庭の味から離れていないために,高級志向でなく本当のそばで商売は難しいのかもしれません。